「…―っ」


好きだった。

彼がきっと“友達”として大好きだった。




ドキドキしてしまったのは彼の下にアイツを見てしまったから。


分かってたはずなのに、彼等は同じなんかじゃないことくらい。


どうしてあたしは大切なことに気付くのがいつも遅いんだろう。




彼があたしを騙していたことに変わりはない。あたしは彼にダマされた。


だけど、彼のあたしを見る目は確かに優しかった。




彼のさっきの言葉を鵜呑みに出来るほどあたしはまだ人を信じることが出来ないでいる。




信じて“また”失うのが怖くて怖くて堪らなかった。


なのに彼を信じてしまったあたしは…やっぱりダマされた。



いつものことだ、分かっていただろう。

信じたら負けってことくらい。




涙が溢れ出して止まらない。


――悔しい。


ぶつけることの出来ない想いは滴となって、走る動きに逆らうように飛ばされて行く。