「ここは…」


来たことのない場所。

聞いたことがあるだけの場所。


なのに、懐かしくて胸が締め付けられるような感覚は何なんだろう。




「“誓いの鐘”だよ」




…ねぇ、楓。


今さらだけど。……今さらだから、


少しだけ自惚れても良いかな?




あなたがあの日連れて来てくれようとしたのはここじゃなかったのかな…って。




あんたはすごく嘘つきで誰より優しかったのに。


傍に居てくれる…って、もう離さない…って

言ったじゃん。


何で今あたしの隣に居るのはあんたじゃないの。




今誰の隣で笑ってる?


ちゃんと笑ってる?


どれだけあんたを憎んでもやっぱり好きなんだ。


もう片思いして何年になるんだろう。

もしかしたらあたしはずっと片思いだったのかもね。


あんな言葉は嘘で出来ていてあんたにそんな感情もともと無かったのかも。




やんわりとあたしを捕らえてはなしてくれない。


どれだけ好きにならせれば気が済むの。