「綺麗だった?」
「ぅん、すごく。これからどうするの?」
気付けば夕日は山間に沈みかけていた。
柔らかいオレンジがあたし達を包み込む。
彼はいつもの笑顔から、一瞬。ほんの一瞬、真顔になったかと思ったら
次の瞬間にはまた笑っていて。
見間違い、なの…?
「見せたいものがあるんだ」
いつかのアイツと同じセリフを吐いた。
ぼんやりと。
でも確実に。
なんとも言えない感情が自分の深いところから沸き上がって来るような。
心臓の血が一気に逆流し始めたような。
そんな感覚。
アイツと目の前の彼がリンクする。
颯が二人居るように思える。
いや、違う。
今颯の隣に居るのは彼じゃない。
あたしが大好きだった人…――


