「次どこ行くー?」
「……」
「じゃあそこのプロネタリウムね」
二人並んで歩き出す。
でもいつもと同じ、微妙な距離を保ちながら。
近くてほんのちょっと手を伸ばせば届くのに、届かない距離。
「おぉ、すげー…」
眼前に広がる異世界のような星空に吸い込まれそうになる。
都心部ではこんなにキラキラ見えないよ……。
「綺麗…」
「お?泣き止んだ?」
ぽつりと言葉を漏らすと隣に居た颯はこっちを振り返ってにやりと笑った。
「さっきから泣き止んでます!」
そっかそっか…と言いながら彼はあたしの右手をぎゅっと握ってきた。
「……っ」
不意に楓とも暗くて見えない中手を繋いでいたことを思い出す。
「はっ、離してよ!」
「上映中はお静かに」
あたしが手を振り払おうとすると、まるでそれを拒むかのようにもっと強い力で握られる。
「……」
動悸が、うるさい。
口から心臓が飛び出てきそう。
なんで『颯』にドキドキしてるんだろう…


