席に着いてもなかなか食欲が湧かない。

いや、スイーツは別腹なんだけどそういうんじゃなくて。


胃が縮むような…、そんな感じ。



「…食べないの?」

「……食べてるよ」


口ではそう言っているもののさっきか手が動いていないのは自分でも承知している。


「おいしくない?」

「…ううん。めちゃくちゃおいしいよ」


颯のお皿をぼーっと眺める。


アイツもあれ乗せてたなー、とか

アイツは山盛りに積んでたのに、颯は綺麗だな、とか

あのスフレチーズは“あーん”してあげたっけ、とか








「……っ」




いろんな想い出が鮮明に浮かんできて、


アイツが大好きだったチョコケーキにぽとり…と滴が落ちた。