「あーっ!亜里沙おそーい!!」
「ごめんって」
集合場所は大学の裏にあるビーチ。
千夏の『夏=海』という安易な考えによりここになった。
「ってか亜里沙…黒ビキニとか…ダメでしょ…」
「女子でも鼻血出そうだわ…」
皆に次々と突っ込まれたが、何がいけないのか分からず首を傾げると、男子を連れて海に入っていってしまった。
あーあ、置いてかれちゃった。
かき氷でも買って食べようかな。
そう思って振り返った時。
「…ぶゎっ」
前に人が居るのが分からなくてぶつかってしまった。
「あたた…」
「大丈夫?」
差し延べられた手の持ち主に視線を上げる。
「ぇ…」
「一ヶ月振り…かな?」
あの、一ヶ月前に駅でぶつかった、メアドを聞かれて逃げた、彼だった。
あたしが何でそんな赤の他人を覚えてるのかって?
彼、似てるんだよ。
アイツに。
声も。顔も。仕草も。
でもアイツより少し大人っぽいんだ。
アイツみたいな可愛さが混じってる感じは全く無くて。
「亜里沙ちゃんって言うんだね。たまたま来た合コンで会うなんて、俺達運命かな?」
「………」
性格まで似てるの。
何でこんなに甘いの。軽いの。
ぶつかった相手にナンパするなんて軽すぎるんだよ、バカ。
お願いだから
アイツを思い出させないで……
あたしを捨てた、アイツを……


