「久しぶり」
「…そうだね」
今は昔の旧友と駅前のカフェで再会したところ。
「いきなり呼び出してごめんね。あまりにも亜里沙が辛そうだったから…」
「ううん…ありがとう」
楓と別れて早一週間。
あの日あたしは耐え切れずに彼女に電話をかけた。
彼女は嫌な言葉一つ漏らさずあたしの話を聞いてくれた。昔のように。
「もう…迷惑かけてばっかりだね。わざわざ東京まで出向いてもらって」
「そんなことないよ!楓君とまさか別れちゃうなんて…、辛いなら泣いて良いんだよ?」
「……大丈夫」
本当は大丈夫なんかじゃないの。
辛くて辛くて死にそうなんだ。
だけど、ぽっかり穴が空いてしまったあたしの心は何も感じない。
何も感じないはずなのにあたしの体はどこかがおかしくて…感情を無くしたあたしは不安定なまま生きている。
泣けばずっと楽になるかもしれないのに、あたしはあの日から一滴も雫を零すことが出来ないんだ。
……あたしは本当に生きているのだろうか。
前のように、彼を好きになる前のように、あたしは死んでいる。
体は生きているのに心は死んでいて。
その不安定さに耐え切れなくなりそうで。いつか破裂したらあたしは…どうなるのだろう。
彼があたしの全てだった。
彼を無くしたあたしには何も残っていなかった。
あたしは彼を失ってから、人ではなくなったんだ。
人の形をした人形だ。
笑うことも
泣くことも
怒ることも
何一つ。出来ないんだ……


