…――こんな最低な嘘をつくあたしは、あなたの瞳にどう映るのだろう。
「あたしもあんたと同じよ」
「同じ…?」
「そ。同じ。あんたのルックス目当て?みたいな。
最初はただ純粋に大好きだったんだけど
あんたさぁ、ビビって全然やってくれないからぁ、飽きちゃった!!
そんなときに那智君に抱かれちゃったから、もう良いかなー?…って思ったんだけど……
あんたってぶっちゃけめっちゃカッコイイじゃん?
だからうちの大学でも有名でさー、〝あの光梨楓〟の彼女ってポジ譲りたくなかったっていうかー」
言の葉は人を護るものだけど、
時に人の心をエグる凶器にもなる。
あたしの今の言の葉を光に透かせば、きっと恍惚と黒光りしてると思う。
よくもまぁ、ここまで嘘を思い付けたなんて。
楓の表情は下を向いてて分からない。
あなたの瞳に映るのは、絶望感ですか?
……私と同じ絶望感。
「もう、良いよ」
ポツリと呟いて顔を上げた彼の瞳に綺麗な夜空が見えた。満天の空の中央に北極星もある。
あぁ、割ってしまったんだ。
あたしの大好きだった、いつか楓に話してみたかったあたしの一番星。
綺麗な星々はもう無く、彼の瞳に映るのは漆黒の闇だった……


