「わたし、光梨楓見たんだよ、昨日」
「まじ?どこで?」
「ラブホ。スッゴい大人な女と腕組んでたよ」
またか。
胸の痛みはいつまで経っても慣れないどころか、ズキズキと大きな悲鳴を立てはじめていた。
また、楓の噂話をしている。
それも例の彼女との目撃談ばかり。
噂もだんだんと現実味を増して来ている。
まだあたしは見ていないから、噂より楓を信じているつもり。
毎日メールだってしてるし、大丈夫なはずなのに、あたしは彼に真実を確かめられないでいた。
ねぇ、楓。
あたしは今もあなたが好きだよ。
付き合ってるのにどうしてこんなに不安になるんだろう。
あたしはまだあなたを心から信じられるほど
…強くないんだ。


