そんなの…嘘、だよ……
楓に限ってそんなこと、絶対にあるわけないのに……
彼を信じきれない自分が居た。
「……そ、う…」
「亜莉沙…」
泣いちゃダメ。
皆に心配かけちゃダメ。
同情なんかされたくない。
噂より彼を、彼と過ごした日々を信じようと思う。
女子会が終わり、ベッドに倒れ込んでため息をついた。
どうやって帰ったのか記憶にない。
ただ、胸が張り裂けそうだった。
枕元にあったケータイを手にとる。あたしに似合わない真っ白なケータイ。
電話帳を開いて彼の名前を表示する。
でも、たった一つのボタンを押せなかった。
これを押せば彼に繋がる。
バカだな、俺を信じろ…そう言って笑ってくれるかもしれないのに。
あたしには勇気が出ず、彼の名前を握りしめたまま、枕を濡らした。


