「……で?」


ところは大学近くの居酒屋。




皆に連行されたはずなのに、席に着いても誰も口を開こうとしない。


気まずそうに視線を泳がす三人に苛ついてあたしが促したのだ。




「あの、ね?亜莉沙って光梨君と付き合ってるんだよね?」

「サキ…っ!核心から突きすぎ!」

何か言おうとしたサキを千夏が止めた。


胸がざわり、とかさつく感覚。

嫌な予感が脳を過ぎる。


「いいよ。続けて」


「……光梨君カッコ良いからうちの大学でも結構有名じゃない?
で、美人の…多分ミスコン優勝者で一つ上の女と歩いてるのを見た人が結構居るのよ」


「言おうかどうか迷ったんだけどね」


千夏の小さなため息が心に重くのしかかる。


嘘……




「あの…っ」


今まで黙っていたエリが口を挟む。






「二人にも言ってなかったんだけどね…ダイチから聞いたの」

「ダイチ?ああ、前の合コンの」

「そう。その女と…ラブホから出てくるの見たらしい」


「………」




何も、言えなかった。




口が乾燥して、喉がいがいがして。


心臓を素手で握り潰されたような息苦しさで胸が詰まる。