「ああ、おもしろかったぁ♪」 「………」 恐怖で喋れない楓を見て心底呆れる。 頼りないなぁ。 「あたし、那智君に乗り換えよっかな」 「いやいやいやいや、あんなのぜーんぜん怖くなかったけど?」 声裏返ってるけどね。 冗談に本気であせってる彼が可愛かった。 「観覧車乗りたい!」 「良いよ」 巨大な観覧車をいざ目の前にすると自分がひどくちっぽけに思える。 前に並ぶ人が減っていくほどドキドキ感が募る。 「お次の方、どうぞ」