駅までは徒歩25分くらい。
そんなに近くない。
だからあたしは今、黒のヒールをカツカツと響かせ、早歩きで駅に向かっている。
せっかくのデートに遅れちゃ大変だ。
急がなきゃ!!
「ごめん。待った?」
「いや、ぜんぜ……」
「…どうしたの?」
見るからに女の子の壁が出来ていると思ったら、やはり真ん中には彼の姿が。
肩を叩くとこっちを振り向いたんだけど、あたしを見て固まってしまった。
「何?」
「……ダメ。スカート短い。背中空きすぎ」
「……」
「それから、何でメイクなんかしてんの?」
「……可愛く…な、い?」
ヤバい…泣きそう…
ダメ…
泣いちゃダメ…
ここで泣いたらウザい女になっちゃう……


