「あの人ですか?彼氏さん」
「まぁ…」
あたし達がこそこそ話している間にも光梨はこっちに向かってズンズンと歩を進めている。
「なぁ…」
「はい」
目の前に来ていた光梨はあたしになんか目もくれず、ただ一直線に勇躍君を見据えている。
「こいつ俺のだから。手出すの止めてくれない?」
「ちょ…っ」
「じゃ」
光梨はあたしの腕を力強く握ると勇躍君に見向きもせずに家に向かう。
そんなんじゃないのにー!!
「じゃあねー!」
「はい!また!」
引っ張られながらも後ろを振り向いて大きく手を振ると、勇躍君も振り返してくれた。
その時さらに光梨の横顔が不機嫌になった気がするのはあたしの思い違い?


