「やっと終わったー!」

「夜のシフトなんてほとんど座ってるだけじゃないですか」

「そうだけどー」


勇躍君と喋りながら夜道を歩く。

今日も満天の星空で、街頭が無くても歩けるくらい明るかった。




「勇躍君って彼女居ないのー?」

「一応居ますよ」

「やっぱり?可愛い?」

「…まぁ」

「照れちゃってかーわいー!」


やっぱり居るんだー!

勇躍君ってカッコイイし優しいしそりゃモテるよねー!


「もう止めて下さいよっ」


あらら。肘で小突くと押し返されてしまった。


でも、耳真っ赤よー?


これ以上言ったら怒られそうだったので大人しく黙っておく。




「じゃあね、勇躍君」


いつのまにか分かれ道まで来てたみたい。

手の平をヒラヒラと振ると腕を捕まれる。


「送っていきますよ」

「や、あたし、そんなヤワじゃないし」

「危ないですから!」




大丈夫なんだけどなー。


勇躍君に押し切られてそのまま公園の入口を通る。


ほら、こんなに街頭付いてるじゃん。

あたしなんか平気でしょー!




「亜莉沙さんこそ居ないんですか?彼氏」

「ん?居るよー。スッゴいカッコイイんだから!」

「まじっすか!?見てみた…い……」

「どうしたの?」


勇躍君がいきなり言葉を詰まらせたから不思議に思って、視線を辿ると。




「……」








ものすごい形相でこっちを睨む光梨が自販機の前で仁王立ちしていた。