「…――ッ!?」
その時フワッと温もりに包まれた。
良い香り…
あたしの好きなコロンの……、お兄ちゃんが付けていたコロンの香りがした。
「泣けよ。泣きたいだけ泣けばいい。
でも、…お前だけは生きろ。
葉月さんの分まで生きろ。
生き抜けろ」
あたしは心のどこかで、この言葉を待ち望んでいたのかもしれない。
あたしは生きていて、生きなきゃいけない。
…お兄ちゃんの分まで。
あたしはお兄ちゃんの死をこの時初めて認めたことで、深い哀しみに溺れた。
一人じゃ立ち上がれないほど深い、深い。
胸の奥から熱い何かが込み上げてきて、しゃくり上げる。
それが、自分の頬をとめどなく伝う温かい滴が、
“生きて”いるということを証明してくれた。
あたしは思いのたけ全てを、
光梨の広い胸にぶつけたんだ…――


