「…嘘つき」
こんなの優しい嘘なんかじゃないよ。
心ではそう思ってても、体は正直で。
彼に抱きしめられていると認識した心臓は爆発寸前まで暴れ狂う。
ふわりと香るこの香りはあたしの大好きな匂いで。
大好きなお兄ちゃんと、……大好きな彼の香り。
「俺のこと忘れちゃった?」
忘れるわけない。
光梨楓。
それが彼の名前。
「大好きなんだよ」
「…嘘付かないで」
「嘘じゃない。居なくなってから気付いたんだ。心の中にぽっかり穴が空いたみたいになって…」
こんなに嬉しいことがあって良いんだろうか。
頬を伝う雫をコントロール出来ない。
胸の奥から込み上げる熱いものは涙となって溢れ出す。


