「ああ…もしもし?うん、うん、見つかったんだよ。今変わるね」
そう言って暫く電話していた相手に繋げたまま携帯をあたしに差し出す那智君。
「ぇ…?」
「ん」
恐る恐る受話器に耳を当てる。
「久しぶり」
「……」
「妃崎?」
あたしを呼ぶ声はあの頃と何も変わらなかった。
艶っぽくて優しい声。
思わず泣きそうになったのはきっとお酒のせいなんだから。
「那智からもしかしたら…って聞いててさ、まさかそのアリサちゃんが妃崎だったなんてな」
ははっ…って受話器の向こうで笑う声にきゅっと胸が軋んだ。
彼の笑顔がふと見たくなる。
最後に見た彼は淋しそうに俯いてたから。


