今ならあの頃の言葉の意味も分かるよ。
あの頃のあたしは幼過ぎた。
小さな体じゃ支えきれない想いを力任せに彼にぶつけていただけ。
『俺達に必要なのは傷を嘗め合う相手じゃなくて、傷を癒してくれる…支えてくれる相手なんじゃないか?』
そうだよね。
傷を嘗め合ったって癒えることはない。
あたしはただ好きだから大丈夫だって、子供じみた独占欲を上手くコントロール出来ていなかったんだと思う。
『俺がずっと傍に居る』
これは嬉しかったなぁ。
大好きな人に言われたんだもん。
期待しちゃうよ。
でも、これは嘘だったね。
ただの嘘じゃなくて、優しい嘘。
人を守るための優しい嘘。
あの時のあたしは孤独で、誰かが傍に居てくれないと壊れてしまいそうだった。
そんなあたしを守るための嘘だったんだね。
あたしはまだ幼くて、彼の優しさに気付かず、彼はあたしを傷付けるために嘘をついたんだって思ってた。
彼はいつだってあたしよりずっと、ずっと。
大人で、一歩前を進んでいた。
「千夏、あたし行くよ」
「マジ?きゃー!珍し〜!」
「気晴らしにね」
この気晴らし程度に行った合コンが
あたしのあの日から止まったままの時間を動かすことになるとは
その時のあたしが知る由も無い。


