ここは日本の首都、東京。
高層ビルが建ち並び、雲を切って延びている。
何も不自由は無い。贅沢過ぎる生活だと思う。
ちょっと電車に乗れば、服だって化粧品だってなんだって手に入る。
前みたいに雑誌に憧れなくても、すぐ傍で買うことが出来る。
なのに
あたしはふと息苦しくなる。
昔の、三年前の、あの町に戻りたいと思ってしまう。
ここあや友達や先輩………彼が居た町に。
この町は便利な近代的な町だと思う。
だけど、ビルで埋め尽くされた世界はやっぱり息苦しくて。
彼はあたしのヒーローで、一番星で、森だったんだと知った。
息をするために彼に会い、彼に会う度安らぎを感じた。
もう彼は隣で笑ってくれないのに。


