じゃあ、
あたしが幸せな家庭に生まれていたら
あなたを支える包容力を持っていたら
あなたはあたしを見てくれた?
あたしの傍で笑っていてくれた?
光梨の言ってること…難しすぎてあたしには分かんないよ。
「ねぇ、光梨」
「ん?」
あんたは、あたしの北極星だったよ。
太陽ほど明るくなくて、自分の力じゃ輝くことも出来ない。
夜の世界にしか現れないのに、本当はずっと同じ場所から動かない。
一等星に成り切れなかった二等星。
それなのに、あたしが困っている時に導いてくれたのは、北極星のあなたでした。
あたしの中の一番星はずっとあなただけなのに、星は太陽と比べものにならないほど何万光年も遠くで輝いていた。
手を伸ばしても届かない距離に居るあなたと少しでも傍に居られて、あたしはきっと。
幸せでした。
「約束守れなくて、ごめんな…」
最後に見たのは、あの輝く笑顔ではなく、困ったような寂しそうな表情だった。


