「でも、恋愛感情は…無い」
光梨は
どこまでも優しくて
どこまでも酷い人だ。
期待させて、突き落とす。
「妃崎は俺にとって大事な人だよ。でも、俺達…似過ぎてるんだよ」
確かに…そうかもしれない。
あたし達はまるで鏡の向こうに居るみたいに、そっくりで。
「俺達はきっと似た境遇で負った深い傷痕を嘗めあってただけなんだと思う」
これは…恋じゃないと言うの?
こんなにキラキラで輝いているのに、死にそうなくらい相手を想っているのに、これは〝好き〟じゃないの?
「俺達に必要なのは、傷を嘗め合う相手じゃなくて、傷を癒してくれる…支えてくれる相手なんじゃないか?」


