「あのー…ご感動中申し訳ないんですが、亜莉沙さんが誘拐されたのは俺のせいなんです!すっ…すみませんでした!!!」
玄関で立ち止まったまま、あたし達のやり取りを黙って聞いていた光梨がものすごい急角度で頭を下げた。
「だいたい分かるわよ。でも…許さない」
「「ぇ?」」
光梨と言葉が被る。
いくら子供が誘拐されたとはいえ、無事に帰ってきたわけだし…
もちろん許してもらえると思っていたあたしは正直驚きでいっぱいだ。
「何、冗談言ってんの〜」
軽く母親を小突こうとすると冷たくあしらわれる。
「冗談じゃないわ、本気よ。だから…光梨、君?」
「「……―――ッ!!?」」
あたしはこのあとの言葉なんて聞いていない。
〝亜莉沙に関わらないで欲しい〟
…なんて言葉も。
ましてや、光梨がそれに頷いたのなんて知らないんだから。


