「受かってたのは、東京が本社の〝beautify〟って会社なんだけど…。直訳すると、美しくする…っていって…」
「…あたしその会社知ってるよ」
「え?そうなの?」
知ってるも何も女子高生なら知ってて当然、可愛くて使い勝手が良い有名コスメブランド。
人気モデルのエミリがイメージモデルになったことで、また知名度が上がっている。
「だから東京に引っ越そうと思うの」
その親会社にあたしの母親が働く…ってこと?
「最近はもう精神病も完治に近くなっててね…だから、亜莉沙。
もう一度だけあたしにチャンスをちょうだい」
ごめんね…ってあたしに泣きながら縋り付いて来る腕を振り払うことが出来なかった。


