「あり、さ…?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む母親の顔は、すごく老けて見える。
真っ赤に充血した目で覗き込まれて、吐き気を催す。
「はっ…名前、覚えてたんだ…」
その姿に思わず鼻から笑いが漏れた。
これが失笑というやつなんだろう。
「…仕事は?」
「そんなの亜莉沙の一大事に……」
「バッカじゃないの?誘拐くらいで。
……あんたに見捨てられてから一人で立てるようになったんだよ!」
「………」
「ドレス着たまんまじゃん。……さっさと仕事行けよ」
あたしを抱きしめる力が少し弱まる。
高級ドレスで着飾った小さな肩は、微かに震えていた。
……泣いてる。
強かった母親が、泣いている。
「亜莉沙……」
「………」
「私が何でホステスなんかしてると思う?」
「………」
…知るかよ。
簡単に金入るからじゃねーの?
心の中で思ったことは口にはださず、胸に秘めておく。


