「ただいま…」
「亜莉沙――ッ!!」
……え?
こんな状況、誰が予想出来ただろう。
家に帰り、玄関を開けた途端、母親に抱きしめられてたのだ。
急なことに頭が働かないまま、固まってしまった。
「……何?」
固まった口からあまりに冷たい声が出たことに、自分自身でも少し驚く。
今さら…何?
また病気なわけ?
「大丈夫だった?」
母親は特に気にする様子もなく、心底心配そうに、あたしの体にぺたぺたと触れてくる。
「今さら…、母親面すんなよ」
この胸は温かいのに、
何よりあたしが欲し“かった”ものなのに、
何故か積もるのは
不信感だけで。