「ほら、手」
倉庫を出て、家に向かって二人で歩いていると、光梨が右手を差し出してきた。
夕日が二つの影を作り出す。
「…ん」
差し出された光梨の右手の小指を、左手でぎゅっと包んだ。
すると、光梨は
「…っ、かーわいいなあ」
って呟いて自分の髪をくしゃっとした。
かっ…かわいい!!?
聞き慣れない単語に真っ赤になっていると、手を握られる。
世に言う“恋人繋ぎ”で。
光梨のいやらしい指の絡ませ方に再び顔が熱を持つ。
ドキドキドキドキ……
手を伝って光梨に心臓の音を聞かれないか不安になるほど、胸は早鐘を打っている。
「光梨の手…冷たいね」
緊張してるのがばれないように頑張って平常を装う。
「だろ?手が冷たい人は心があったかい証拠なんだって」
「そっか…」
そう言って微笑んだ優しい表情にまた心臓が暴れだす。
本当にそうかもね。
……おひとよし。
優し過ぎるんだよ。
ばか。