「…――ッ!!」
「妃崎…っ!?」
背中に拳が食い込む。
言葉が出ないほど痛い。
殴られたところから熱を放っているような激痛。
見兼ねたあたしが龍の上に覆いかぶさった時。
光梨が拳を力の限り振り下ろしたのだ。
漫画のように星や土星が飛んでいるような生温いもんじゃない。
母親に蹴られた時よりずっと痛いかもしれない。
一瞬シャットダウンしたように目の前が真っ暗になった。
「ごめん…ッ!!」
「………ッ…」
あたしを殴って正気に戻ったのか、いつもの優しい眼差しであたしを労ってくる。
大丈夫だよ…って伝えたいのに、声帯が壊れたかのように激痛に声が出ない。
ジリジリと痺れる体を動かすことが出来ないまま固まっていると、
ふわり、と抱きしめられた。
光梨の…、抱きしめ方。
安心してるのに。ホッとして、胸がすごくあったかいのに。
胸が張り裂けそうだった。
それは、緊張でもあり、……悲しみでもあった。
温かい胸から感じるのは、愛情ではなく、
同情と罪悪感だけ。


