「ぃ…生きてたらって……
…まさか…っ…!」


光梨の顔が青白くなっていくのが手にとるように分かった。


光梨、お兄ちゃんにずいぶん懐いてたもんね。


あたしを見る度、亜莉沙ちゃん、葉月君は?…だったよね。




消えていった、その後に続くはずだった言葉をあたしが変わりに発する。


「死んだよ。殺されたの」

「ど…ぃうことだょ?」




目を見開く光梨を一瞥してから、言葉を選びながら紡いでいく。




「あたしが片親だったのは知ってるよね?

で、父親が居ないうえ母親はDV。


あたしが言えることでも無いけど男遊び酷くて、二人目だったかなあ……

…再婚相手に連れてきた男が酷い奴でさ」




笑いながらリビングまで歩いていって、ソファに崩れるように座った。


光梨は顔面蒼白のまま、ソファの側に突っ立っている。




「あたしが中2の時に連れてきて、それから性的暴力受けるようになって…

母親は止めずに、見て見ぬフリしてた」




そこで光梨が唾を呑んだ音がしたけれど、気にせず俯いたまま続けた。