ここ…、どこ?
少し埃っぽくて、喉がいがいがする。
淀んだ空気ってことしか読み取れない。
確認したいのになぜか体は動かないし、瞼は重くてなかなか上がってくれない。
「美人だよなー…まじパネェ」
「脅しじゃなくて、ガチやっちゃいたい」
「わかるー!!」
そこに居るのは、…誰?
確かにそこには気配があるけれど、明らかにあたしの知り合いではない。
知らない男の子数名。
あたし……どうしてこんなことになったんだっけ?
ゆっくりと瞼を上げる。
そこは倉庫のようなところだった。
もう使っていないような古い、寂れた、だだっ広い場所。
そして、あたしの目の前に円になって談笑しているのは、不良校で有名な鬼篤高校の奴ら四人。
鮮やかな色合いの頭に、耳たぶには契れそうなほどのピアスを揺らしながら、タバコを吹かしている。
さ…さすが……
そういえば、あたし…誘拐されたんだった…
思い出した瞬間、全身から血の気が引いた。
寝てるふりした方が…良い…?


