――ピンポーンピンポンピンポン…!
インターホンが壊れるかと思うくらい連打する。
お願い…、お願いだから出て来て……
「もうっ、誰?」
出て来たのは、あたしが待っていた人、楓君
……ではなく、
「亜莉沙のお母さん?」
「…そうだけど」
高級ドレスを身に纏った綺麗な女の人。
そんな気もしてたけど……
家に行きたい…と言っても軽く流されたし、家のことは決して喋らない。
だから、上手くいってないのかもしれないって思ってたけど、お母さんを見てよく分かった。
水商売…、してるんだろうな。
独特の風貌からホステスをしてるように思える。
綺麗だし、若いしね…
軽蔑する気はないけれど、若干顔を引き攣らせてしまった。
「で?」
「あ…えっと、亜莉沙さんの友人の浅倉です。光梨君いらっしゃいますか?」
「コウリ?誰?」
「え?あの…男の子で…」
「あー!ああ…あー!あの子が連れてきたガキでしょ?
んー、寝てるんじゃない?」
え?楓君のこと…亜莉沙、紹介してないの?
しかも、放任?
あまりのドライな関係に違和感を感じながらも、今はそんな場合じゃないと思い直す。
「亜莉沙が!亜莉沙がっ!黒い車に連れ去られて!!」
「え?…あの子が!?」
あたしの発言に動揺するお母さん。
ちょっと意外に思ったことは口が裂けても秘密だけど。


