「亜莉沙…
好きだよ…」
そう言って強く抱きしめる。
強く、強く。
息も出来ないほど強く。
腕が痛くなるほどぎゅっと。
亜莉沙の手が遠慮がちに俺のシャツを掴む。
「先ぱ、い…」
苦しい?
なら、もっと苦しんで。
その間は俺のこと考えてくれるでしょ?
「好きだよ…」
「……っ…」
あまりにも苦しそうだったので腕を緩める。
「はぁ…っ」
「亜莉沙…」
何で…泣いてるの?
俺が黙って親指で涙を拭うと、慌てて下を向く亜莉沙。
「ごめ…っ…」
「何で泣くの?」
「言っても良い?」
「…うん」
なんとなく、感づいていた。
強い亜里沙が泣くのはアイツに関することだけだって。
「光梨はいつもあたしを壊れ物を扱うように抱きしめる。
こんなに強く先輩は愛を持って抱きしめてくれるってことは、
……光梨は、同情だったのかな…って」
光梨の前でもそうやって綺麗な滴を流したの?
ねぇ、俺には君の涙を拭うことが出来ないのかな。
君の心を満たすことが出来ないのかな。
「好きだよ…」
「先輩…」
泣くほど好きでも。


