俺はこんなにも亜莉沙を好きで、
今、俺の腕の中に居るのに、
「離して…」
こんなに遠くに感じるんだろう。
「何で光梨なの」
さっきもぶつけた質問をもう一度亜莉沙に突き付ける。
俺は酷なことをしているかもしれない。
でも、どうしても、…聞きたいんだよ。
どうして泣くほど彼が好きなのか。
どうしてそこまでして彼を想うのか。
「俺なら泣かせない」
「………」
「絶対お前を守る」
「………」
「俺じゃ…、ダメか?」
「………」
何でだよ…
何でダメなんだよ…
何であいつなんだよ…
何で、何で…って頭の中を堂々巡りする。
…――答えなんか分かりきってるのに。
〝好きだから〟
亜莉沙が光梨を好きだから。
ただそれだけ。
俺は許せなかった。
こんなにも泣くほど想ってもらえる光梨が羨ましくて、憎くて…、
一瞬あいつを殴りたい衝動に駆られた。


