あんなこと、光梨は誰にでもしてる。
キスなんか。それ以上のことだって。
だからあたしはからかわれてるだけ。
分かってる。
分かってるのに…
どうして人は期待するんだろう。
期待すれば裏切られる。
そんなこと知ってる。
あたしが誰よりも知ってるはずなのに。
この世界に
真実の愛も、真実の友情も、
数えるほどしかない。
地球は、大気でも、マグマでも、大陸で成り立っているわけでもない
…と、あたしは思う。
地球に多いのは、自然でも、人間でも、窒素でもない…とも思う。
地球は嘘の塊だ。
嘘で出来て、嘘が充満した世界。
それが地球なんだと知った。
なのに…
傷付くのは自分なのに。
どうして人は、もっと…を望んでしまうんだろう。
どうして人は、もしかしたら…を考えるんだろう。
どうしてあたしは…こうもバカなんだろう。
光梨が優しく抱きしめてくれる度に、
光梨があたしだけに微笑んでくれる度に、
望んでしまう。
期待してしまう。
恋は、綺麗で輝いているのに、醜くてくすんでいる。


