…あれ見てると、イラつく。
バカじゃないの?
こんなとこでキスなんかして。
羞恥心ってものが無いの?だから平気で居られるの?
常識持てよ。もう高校生だろ、お前等。
恥ずかしいんだよ、見てるこっちが。
黒い気持ちがどんどんと渦巻いていく。
あれが視界に入る度渦は大きさを増していって。
…苦しい。
息が出来ないほど胸が締め付けられる。
こんなに醜い自分…知りたくなかったな。
ねぇ、光梨。
昨日あたしにキスしたじゃない。
あんたにとっては大したことないかもしれない。
でも、あたしには……
「……っ…」
何…泣いてんの。
バカみたい。
慌てて目を擦る。
ゴシゴシ擦ると目が痛くてまた涙が出た。
「……ぅ…っ」
「…何泣いてんだよ」
「…………光梨」
あんたのせいなんだから。
さっきまでキスしてたくせに。
綺麗なお色気お姉様と濃厚なのしてたくせに。
「話し掛けないで」
「え?」
「学校で話し掛けないでよ、タラシが」
「あ?」
光梨の眉間に皺が寄る。
光梨が怒ってるのも、あたしが酷いこと言ってるのも分かってる。
でも止まれない。
黒い渦が渦巻く毎に苦しくて、ブレーキを掛けさせてくれないの。


