「あたし、別に楓君のこと好きじゃないよ?」
「…え?」
あたしの心は、不思議と少しの嬉しさが入り混じっていて。
何で喜んでるの。
安心した自分に違和感を覚える。
「そりゃあ…カッコイイとは思うよ?
…でも、それに恋愛感情はない」
「何で…嘘、ついたの?」
「亜莉沙を試したの。
楓君が好きなんじゃないのかなぁ…って」
あたしが?
光梨を?
そんなわけ…――
「そんなわけ、ないよ」
「あるよ。あんたは楓君が好きなの。
他の女子なんかに取られるんじゃないよ。分かった?」
あたしが…光梨を
………好き?
少し離れたところで笑ってる光梨を見た。
ほら…楽しそう。
女の子に囲まれて笑ってる。
あんなにベタベタされて喜んでる。
むかつく。むかつく。むかつく。
なんか分かんないけど、すっごいむかつく。
イライラする。
男ってやっぱ皆そうなんだよ。
ばっかみたい。
あたしなんかと居るより…ずっと楽しいでしょ?
あたし…光梨にちゃんとお礼も言えてないし。
「ねぇ、亜莉沙」
「ん?」
「今ちょっとムカつかなかった?」
「…………」
何で分かったの?
顔に出てた?
「それはね…嫉妬なんだよ」
「嫉妬?それって好きだからするんじゃ…」
「だから亜莉沙は楓君が好きなんだよ」
好き…か……
あたしには正直よく分からない。
恋したって、愛したって…いつかは無くなるもの。
だったらそんなのしなきゃ良いんじゃない?
そう思ってた。ずっと。ずっと。
でも…これが恋なんだとしたら
案外悪くないかもしれない。
その人のことを考えて、ドキドキして…
こんなキラキラした感情もあたし、知らなかったよ。


