……はずだった。 するり、と私の手は夏くんを通り抜けたのだ。 「……っ、ごめん。絢、幸せにできなくてごめん……」 夏くんが一歩、また一歩と後ろに下がっていく。 「こんな俺で……ごめん。守ってやれなくてごめん」 「謝らないでよ……」 夏夜くんが一歩前に出て夏くんへ近づいた。 「夏海、謝るなよ。最後くらい笑えよ……」