満月の夜の君に





……はずだった。




するり、と私の手は夏くんを通り抜けたのだ。







「……っ、ごめん。絢、幸せにできなくてごめん……」





夏くんが一歩、また一歩と後ろに下がっていく。






「こんな俺で……ごめん。守ってやれなくてごめん」








「謝らないでよ……」





夏夜くんが一歩前に出て夏くんへ近づいた。







「夏海、謝るなよ。最後くらい笑えよ……」