満月の夜の君に








安心したように笑う夏くんは……悲しいはずなのに今までで一番いい笑顔をしていた。






「えっ、夏海……?」






「絢を頼む。俺の代わりに……絢を幸せにしてくれ……」







そして、ポン、と私の頭に置かれた大きい手。






きっと、もうすぐこの手は消えてしまう……。









「……分かったよ」







夏夜くんは寂しげな瞳で双子の弟を見つめる。







外見は似ていないようで、性格は似ている二人。







白山夏海と白山夏夜。









夏の夜、海が見える私の家の前。







向かい合う二人は、兄弟なんだと改めて思った。