満月の夜の君に









下を向いていた夏くんが顔をあげた。









整ったその顔には、綺麗な涙。








「よかったな、絢」









「……え?」







「よかったじゃん……。そうだよな、もう2年経つんだもんな。少し寂しいけど、幸せになれよ……」







夏くんが悲しそうな顔をしていたのは、こういう事が分かっていたから……?









「……兄貴も」




「……え?」





突然話をふられて驚く夏夜くん。





そんな彼を見ながら、夏くんは笑顔を見せた。








「夏夜、絢を頼んだぞ……」