「壁をおもいきり蹴って、
腕をぴんと伸ばして抵抗を減らして、
できるだけ低くを伸びてくればちゃんと俺までとどくから」
「う…」
「大丈夫だから。ほらおいで」
「もう、やだ…」
そんな本心をつぶやいて、けのびの練習をすること15分。
私はいまだにコーチにとどかない。
が、
「上原さん、結構外暗くなってきたから!そろそろ練習終わったほうがいいって」
「いや!まだです!!絶対コーチのところまで行ってみせる!」
立場は逆転していた。
私をそこまでやる気にさせたのは、
けのびのやり直しでボビングばかりが上手くなっていく中、
コーチが私に何気なく放った一言。

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