そう言うだけ言って、コーチは私に背を向け遠ざかり、ある程度の距離をとって止まり、振り返った。
「ここまでこれたら合格な」
コーチの広げられた両腕を見て、ふと思う。
「そこまでとどかなかったらどうするんですか?」
コーチの立っている場所は、
5メートルのラインと10メートルのラインの間の中途半端なところだが、
見た感じ、10メートルのライン寄り。
つまり、7~8メートルあたり?
そんなところまで、バタ足無し呼吸無しの壁を蹴った脚力だけで進めるだろうか。
もしコーチにとどかなかったら、中間地点に赤い板は無いから、
私が着地すると目のあたりまで水に埋まってしまう。

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