「おいで」
お…おいで?
その、腕の中に?
「そんな…抱きかかえられたままで練習できるわけないでしょ…」
静かに、しかし必死に訴えてみる。
「そうだよな~」
梶原コーチは笑い、それだけ言うとプールから上がった。
ぺちぺちとプールサイドの反対側の端までけだるそうに歩いていく。
びっくりした…
今私の"ハート"そのものが熱くなった気がした。
早く冷まさないと。
水に浸かったら、急激な温度変化で湯気をあげて割れてしまうかもしれない。
梶原コーチが板を一枚引きずって運んでくる。
プールにドボンと浸かる板は、水面に入った部分だけ光が屈折して曲がって見えた。

![セルリアン-cerulean-[番外]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre1.png)
![アンジェリカ-angelica-[番外]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.787/img/book/genre7.png)