SWIMMING*SCHOOL


「おいで」


お…おいで?

その、腕の中に?


「そんな…抱きかかえられたままで練習できるわけないでしょ…」


静かに、しかし必死に訴えてみる。


「そうだよな~」


梶原コーチは笑い、それだけ言うとプールから上がった。

ぺちぺちとプールサイドの反対側の端までけだるそうに歩いていく。


びっくりした…


今私の"ハート"そのものが熱くなった気がした。

早く冷まさないと。

水に浸かったら、急激な温度変化で湯気をあげて割れてしまうかもしれない。


梶原コーチが板を一枚引きずって運んでくる。


プールにドボンと浸かる板は、水面に入った部分だけ光が屈折して曲がって見えた。