すっかり素で答えてしまった後にはっとする。
「これから水泳やろうってときに随分な問題発言だな…」
後悔先に立たず。
体操を終えると、すかさずコーチはプールに入る。
ジャボンッという音と共にあわ立つ水、
シュワシュワと水面にあがる沢山の空気の粒。
コーチは振り返り手招きした。
うわーもうほんっと幸せ。
これから水泳の指導なんかが始まらなければ。
私は足を水につけ、固まる。
「赤い板…」
「え?」
赤い板がなかった。
プールの底に足をつけば、私は目のあたりまで水に浸かってしまう。
赤い板を敷かないと…
「ああ…」
コーチは理解したようで、辺りを見回す。

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