「鼓動聞かせたらそりゃ落ち着くだろうけどさ、赤ん坊あやしてんのかっつー話だよ。」


そういえば、そんなようなこと言ってたなあ。


"人はな、鼓動を聞くと落ち着くんだよ。だから、俺の鼓動。"


ぴゅ─────────…


お湯が沸騰してせわしく湯気をふきあげるやかんの音がした。


赤面する。赤面というか、汗顔。


あんなセリフ思い出すんじゃなかった!


私があたふたしていると、藤原さまがいきなり私の顔の両脇にダンッ!と手をついた。


「え…」


かっ…壁ドン!!
なんで?何事??


「満員電車かってくらいだな…」


あ、え…あ、そう。なんだ。

混んで人に押されて体勢を崩しただけ?