抱えているともいえるその状態は、お姫様だっこそのもので。
顔が火をふく。
至近距離で堂々と照れるわけにもいかず、
照れ隠しのために咳き込む。
「ちょっと休もう。」
梶原コーチは皆に続けててと指示し、
私を抱えたまま歩いた。
プールサイドに私を優しくそっと座らせる。
私は膝から下だけ水に入った状態で座っていて、
コーチは私の目の前の水の中に立っている。
勿論コーチがいるプールのほうが低いから、
目線は私がコーチを見下ろす形になる。
それも恥ずかしいし、さっきから頻(シキ)りに梶原コーチの筋肉がほどよくついた腕が、
私の背中をさすってくれていることも恥ずかしい。

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