思い出したのが既に遅く、私の体は沈みに沈んでいた。
クロールの存在を忘れるとか、
そして今更思い出すとか、
お前は何しにスイミングスクールに来てるんだよ。
…敢えて言うならイケメンに会うためだけど。
どんなに水を掻いても進まない。
足も水中じゃ蹴り上げられない。
息継ぎしたくても、空気にありつけない。
コポコポという音しか聞こえない。
全身冷たくて仕方ない。
くるしい…
ぐるしい……っ!!
苦しさのあまり、水中で息を吸ってしまう。
水がたくさん入ってくる。
むせたくて咳き込もうとしても、更に水。
誰か……っ!!
た、すけて─────────

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