私は水から顔をあげて,手で顔の水を拭って言い放った。


「2本でした。」


勿論,瞼を透視するような特殊能力は持ち合わせていない。

無論,水の中で目を開けるなどという超人的行動もしていない。



つまりは,勘。








「正解~!!
1級昇進して,次回からは晴れて14級ね,おめでとう!!」

……………………あ。


今のは私が通っているスイミングスクールで月に一度だけある昇級のためのテスト。


15級は"水に馴れよう"がテーマで,水の中で目が開けられたら合格なんだけど…


私,合格した?



や,

「やった~!!!」


「ほらね,凛。だから行っておけば良かったでしょ?」


キッチンで答えるのは私のお母さん。


私は,大嫌いな水泳を克服するため,
自らスイミングスクールに通うような熱心な子ではなく,


お母さんに無理矢理行かされているのが現状。