大股でロビーを進む男に、着なれない着物でちょこちょことついて行くのがやっとのあたしには抵抗する術もなく。
どう見ても恋人同士の甘い雰囲気はなくて、例えて言うなら『家出娘とそれを連れ戻す父親 』。
滑稽な姿を晒している自分に、周りの視線とクスクスと聞こえる笑い声が痛い。
引き摺られるように歩くあたしは声を発する事も出来ない。
男がやっと止まったのはエレベーターホールの前。
両脇に合計6基あるエレベーターの一番近い所にあるボタンを押すと、奥のエレベーターの扉が開いた。
それに乗り込み懐石料理のレストランがある26階のボタンを押す。
扉が閉まると同時に男は
「名前は?」
と聞いてきた。
どう見ても恋人同士の甘い雰囲気はなくて、例えて言うなら『家出娘とそれを連れ戻す父親 』。
滑稽な姿を晒している自分に、周りの視線とクスクスと聞こえる笑い声が痛い。
引き摺られるように歩くあたしは声を発する事も出来ない。
男がやっと止まったのはエレベーターホールの前。
両脇に合計6基あるエレベーターの一番近い所にあるボタンを押すと、奥のエレベーターの扉が開いた。
それに乗り込み懐石料理のレストランがある26階のボタンを押す。
扉が閉まると同時に男は
「名前は?」
と聞いてきた。
