授業が始まるとやっぱり眠気はおさまらない。
…困ったなぁ…
いつもは楽しく授業を受けられるのに今日はヤバイ。
何を考えても何処か片隅に雄斗が居る。
考えない様にしてるのに頭から離れない。
私は眠気に負け、夢の世界へ突入。
『ねぇ、栞、この問題教えてよ』
雄斗が言って来る。
…名前で読んでくれてる。
『ほら、ここお前ならわかるだろ?』
雄斗が顔を寄せる。
「雄斗…」
そこで私は目を覚ました。
「あ…れ…?」
起きた今は社会の授業中だった。
社会担当の佐藤由佳里先生が私を見る。
「起きた?」
先生が私に言った。
みんなが一斉にこっちを見る。
「起きましたぁ」
私は明るく笑いながら言った。
先生は軽く笑い、
「いや授業中寝んなよ」
と言った。
社会の時間に居眠りしちゃうなんて…
いつもは毒舌な由佳里先生の授業が楽しくてしっかり起きてるのに…
しかしまさか雄斗の夢を見るとはね…
これは重症だ…
こんな経験無かったからどうすればいいかわかんない。
みんなは居眠りをした私に笑っているのに空と沙綵は暗い顔をしていた。
二人の顔を見たからこそ私もまた暗い気持ちになってしまった。
私が元凶なのにね。
明日は塾がある。
私が勝手に憂鬱なだけで雄斗は悪くない。
だから…今までどうり普通に…
普通の友達で接するんだ。
どんな事があっても…
一度でも本気で好きになった人に嫌われたくはない。
友達でいいからそばにいたい。
そんな思いは…
どうすればいいんだろう。
『雄斗の為にも優斗を諦めないと』
そんな事私が一番よくわかる。
でも…雄斗が私を見てくれなくても…
あの子を心から好きで私なんか眼中になくても…
それでも離れたくない。
近付きたい。
それなら…そう考えるなら…
雄斗に抱くこんな思いも大きな一歩じゃないか。
こんな悲しい一歩でも…それでも雄斗に近付けたんだ。
雄斗…気付いてよ…
私は雄斗が好きなんだからね?
どうしたら貴方は気付いてくれますか?
どうしたら…

