君にもう一度逢いたかった。


数日後───

「白夜!!」

「にゃんっ」

白夜と呼ばれた白い子猫は、可愛らしく鳴いた。

「和宮様、白夜とは・・・」

「この仔の名前よ!素敵でしょう?」

かつてないほど明るく笑う和宮を見て、夕鈴は唖然。

(この子猫には、和宮様の心を明るくする力が・・・!?)

単に自分の失態のせいでいつも和宮が困っているという事に気付かず驚く夕鈴。

そしてそんな夕鈴を横目に見ながら、白夜を撫でる和宮。

「白夜とは、面白い名をつけたのね」

「お姉様!!」

「し、淑子様!?」

夕鈴がいると知らず和宮に話しかけた淑子は、いきなり赤面。

「ご、ごめんなさいね。誰かいるとは知らなくて、その・・・」

「い、いえいえ!私は所詮女中でございますので!!ではごゆっくりどうぞっ」

夕鈴も淑子も、頬が紅潮している。

淑子は扇で顔を隠し、夕鈴はそそくさと出て行った。

「お姉様。女中が大変失礼しました、申し訳ありませんわ」

「い、いいのよ和宮!!いきなり話しかけた私が悪いのだから!!」

「妹に対して、そんなに改まらないで下さいな」

くすくすと、あまり似ていない姉妹が苦笑。

和宮は淑子と半分しか血が繋がっていない。

淑子は熙宮と完全なる姉弟なのだが、和宮は母親が違うため、異母姉妹、異母兄妹となるのだ。

しかし半分は血が繋がってるせいか、和宮と淑子は非常に仲がよい。

「白夜って、どういう意味か知っている?」

「いえ・・・名前をつけたのはお兄様ですので」

「熙宮が!?あきれた、あなたに贈った猫なのに!!」

「私にはこの仔に会う名前が思いつかなかったのです」

「あなたが甘いから熙宮が甘くなるのだわ!!もっと厳しくしなくては!!」

熙宮は和宮にとっては兄だが、淑子のとっては弟なのだ。

よって、淑子は熙宮に厳しい。

「そんな・・・今上帝にお説教なんて出来ませんわ」

「熙宮は帝である前に、私の弟でありあなたの兄です!!」

珍しく厳しいことを言う淑子に、和宮は面を食らった。